“犯人”と呼ぶ弁護人 閉廷後、遺族に一礼する被告(産経新聞)

【法廷ライブ 秋葉原17人殺傷 第2回】(13)

 《秋葉原無差別殺傷事件を目撃した男性に対する検察側の証人尋問は終わった。次に、加藤智大(ともひろ)被告(27)の弁護人が質問に立つ。加藤被告のトラックが秋葉原の交差点に突っ込んだ際の目撃証言について、質問していく》

 弁護人「『ゴー』って音がしたとのことですが、何かに物が当たるような音はしませんでしたか」

 証人「全然気付きませんでした」

 《フロントガラスに張り付くなどしていた人を見た」「地面に倒れていた」という証人に対して、弁護人が質問する》

 弁護人「あなたが、(フロントガラスに)衝突したのを見た人が、地面に倒れていた被害者ですか」

 証人「どっちがどっちか分かりません」

 弁護人「その(衝突した)人は、(倒れていた人とは)別の人だったということはありませんか」

 証人「そうですね」

 弁護人「フロントガラスに衝突した人がどうなったか見てないですか」

 証人「見ておりません」

 《また「前輪と後輪とのタイヤの間に人を見た」いう証人に対して、被害者がどのようにひかれたのか位置を細かく確認していく》

 弁護人「あなたは前輪と後輪のタイヤの間に人を見たとおっしゃったが、(その)地面にいた人に、タイヤが乗り上げるところを見ましたか」

 証人「最初に前輪と後輪の間に人がいてその後、人が前輪を越えて前にいました。車が乗り越えたのか、人が動いたのかは分かりません。左前輪の下を抜けていきました」

 弁護人「車が(倒れていた)人の上を乗り(越えて)、車がバウンドしたところなどは見ましたか」

 証人「車が人を乗り越えたっていうのは、目視しています」

 《次に、弁護人は、“犯人”が車から降り、ナイフで襲いかかった際の状況について、質問していく》

 弁護人「交差点の中央で車から人が降りてくるのを見ましたか?」

 証人「扉が開くのが見えています」

 弁護人「あなたの調書の中では、降りてきたのは男か女かは分からなかったようですが」

 証人「一番最初のころは人影が降りたような雰囲気もあったが、人が降りてきたというより扉が開いたことのほうがイメージに残っています」

 《弁護人は、証言のはっきりしない部分を浮き彫りにしようとしているようだ》

 弁護人「人が刺されたときに、(はじめて)犯人がいるのが分かった?」

 証人「そうです」

 弁護人「(被害者が)刺されたところは見ていない」

 証人「見ていません。刺された瞬間は見ておりません」

 弁護人「犯人が気付いたら目の前にいた?」

 証人「はい」

 《弁護人はトラックから降りて、ナイフを振り回した男を“犯人”と呼んでいる。証人への質問で、まだ「加藤被告」という言葉は出てこない》

 弁護人「犯人がナイフを突き出してきた」

 証人「はい。2回って感じじゃなく、小さく跳ねながら前に向かってくる感じでした」

 《裁判長が身を乗り出して尋ねる。「跳ねながらですか?」》

 証人「若干跳ねながら前に突き出してくる。こう。何回もしながら」

 弁護人「右手だけで」

 証人「はい」

 弁護人「そして視界から消えた。あなたが前に出て、犯人とすれ違った感じですか」

 証人「そんな感じです」

 《突然のトラック突入で騒然とする交差点の様子を証言してきた証人の男性。この点についても、弁護人が、詳細に質問する》

 弁護人「交差点の中の様子を説明してください」

 証人「騒然としちゃって。交差点の中は直後には救護している人、周りを囲んでいる人がいて…。『危ない』という声の後は、人があふれてパニックというか…」

 弁護人「犯人が何か叫んだりしていたことはありますか」

 証人「ありません。なかったから、(犯人に気付かない)被害者が刺されたのかもしれません」

 弁護人「キャーとか絶え間なく聞こえてきたのですか、それとも静かな雰囲気でしたか」

 証人「自分が覚えているイメージになってしまいますが、いろんな声が飛び交っていました。文字にならない悲鳴に近い声が。そんな感じでしか覚えていません」

 《秋葉原が騒然とする中、警察官に取り押さえられたとされる加藤被告。このときの証人の証言についても、弁護側は質問していく。ただ、警察官ともみ合っている「加藤被告」についてではなく、“犯人”についての質問だ》

 弁護人「あなたが見たとき、もう警察官と犯人とは闘っていたのですか」

 証人「はい」

 弁護人「犯人が(取り押さえられた)路地に入るのは見ましたか」

 証人「見ておりません」

 弁護人「警察官は犯人を殴ったりはしていましたか」

 証人「していません」

 弁護人「警察官はむしろ防戦していた?」

 証人「防戦していました」

 《加藤被告は身動きせず、手元の資料のようなものに目を注いだままだ。弁護人は、証人がナイフの男と向き合ったときの様子を証人に尋ねた》

 弁護人「そのときの表情は覚えていますか」

 証人「まばたき一つせず、前を見すえているという感じでした」

 弁護士「対峙(たいじ)していたとき、声を出していましたか」

 証人「ありません」

 《目撃者の男性に対する証人尋問は、これですべて終わった。村山浩昭裁判長が証人尋問の終わりを告げる》

 裁判長「証人の方、長時間お疲れさまでした。以上で尋問を終わりますので、書類に署名をしてください」

 《午後5時13分、村山裁判長が閉廷を宣言した。加藤被告は、両脇の係官を押しのけるようにして、傍聴席の前に来ると、遺族に向かってゆっくりと一礼し、無言で法廷を後にした》

 《次回の公判は2月5日午前10時から、同じ東京地裁104号法廷で開かれる。証人尋問などが行われる予定だが、次回は証人に遮蔽(しゃへい)がされることになっている》

 =(完)

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